建設業は大工や電気、ガラス、水道といった建物に関わる業種だけでなく、道路や橋、港湾、井戸、消防など人々の生活に大きく関わる産業です。
そして一件ごとに異なる受注形態であり、その特殊性から工事(請負)契約は特に重要とされ、その業務を専任して行う者が求められます。
それが建設業許可の要件の一つである専任技術者です。
専任技術者の業務
専任技術者の業務は、請け負った工事に対する施工方法の選択や発注者へ説明、見積書などの書類作成といった契約締結に直接関係する事務となります。
そのためには、許可を受ける業種に関する一定の専門知識や業務経験がある者を各営業所に設置しなければいけません。
つまり、専任技術者の要件と人数は、許可を受ける業種ごとに一定の資格や経営業務に携わった経験を有する者が営業所の数だけ必要になります。
また、こうした業務は現場ではなく営業所で行うため、現場に配置しなければならない主任技術者や管理技術者と兼務する事はできません。
ただし、営業所から現場が近く、かつ請負金額が2,500万円以下である場合は兼任する事ができます。
一般と特定で異なる専任技術者の要件
そしてこの専任技術者は、一般建設業許可と特定建設業許可で要件が異なります。前者の場合は建築士や各種施工管理技士など一定の資格を有する者、または許可を受ける業種につき実務経験が10年以上の者、あるいは高校や大学、専門学校等で指定学科を修了して一定の実務経験がある者が該当します。
この指定学科を修了した場合は、高校と専門であれば卒業後5年(専門士や高度専門士なら3年)以上、大学であれば3年以上の実務経験が必要となります。
後者の場合は国家資格または一定の指導監督的実務経験のいずれかを有する者が該当します。
この国家資格は前者のそれより範囲が狭くなっており、例えば同じ建築士や施工管理技士でも1級が求められます。
指導監督的実務経験とは、前者の専任技術者の要件を満たす者が、設計から施工に至る全ての建設工事において現場監督などとして総合的に指導監督した経験を言います。
なお、その建設工事は請負金額が4,500万円以上の元請工事でなければならず、実務経験の期間も2年以上が必要です。
また、指導監督的実務経験の証明については、その建設工事の内容や請負金額などが具体的に証明できる契約書等や、その期間中に雇用されていた事を証明する社会保険の加入記録や源泉徴収票などで判断します。
このように後者は工事規模が大きい建設工事を請負うため、それに求められる要件も厳しくなっている事が特徴です。