道路や橋梁などの土木工作物に欠陥があった場合にはそこを通行する車や人に災害をもたらすおそれがありますし、道路等の倒壊により周辺住民への迷惑が生じるおそれがあります。
また、人が生活したり仕事したりする住居やマンション、事業用ビルなどについても欠陥があった場合には地震で倒壊するなどが生じ、そこで生活する人や仕事をする人達及び周辺の人達に多大な被害を生じるおそれがあります。
このように建設事業というものは不特定多数の人の生命・財産にかかわるものであることから1件あたりの請負契約金額が500万円未満等の場合の軽微な場合を除いては、建設業許可を受けなければならない許認可業種ということになっています。
許可事業ということになってくると許可要件というものが存在し、その要件の一つとして専任技術者の配置というものがあります。この内容についてみていきましょう。
専任技術者の配置の想定
まず、建設業法が想定している建設事業の遂行パターンというのは、許可業者の営業所において発注者と建設工事の内容について協議し、建設業者の側で見積もり等をしたり、設計に関する技術的な提案などをしてコストダウンなどを図って最終的に契約に至るという流れを想定しています。
そして契約後に実際に施工にあたることとなるのですが、この契約の段階において契約内容を会社等の権利義務として効果帰属させる権限がある者がおり、かつ、その契約内容については専門的な技術者がアドバイスした上で適切な内容で契約されるということ想定していることから、技術的なアドバイスをする者が人員配置要件として求められています。
それが専任技術者というものです。
この専任技術者となる資格ですが、許可を受けようとする建設工事業種ごとに技術者として認められる国家資格を有しているか、許可を受けようとする業種について一定年数の実務経験があるか、業種におうじた学歴に加えて一定年数の実務経験があるかということが一般建設業の専任技術者には求められています。
また、特定建設業の許可を受けようとする場合には業種ごとに定められた国家資格を有するか、一般建設業許可の際に必要な専任技術者の要件を満たした上で元請けの請負代金が4,500万円以上であるものについて2年以上の現場主任等を行った経験があるものという形で要件が厳しくなります。
そして、この資格や経験を有する者は営業所において契約締結の際にチェックする役割を果たすために常勤であるという要件も加えられています。