建設業は、道路の建設や舗装、橋梁の建設、河川のしゅんせつなど様々な工事が存在し、大きな土木工事を受注してもその受注業者(一般的には大手のゼネコンが想定されるでしょう)がすべての工事を自前で行うということはほとんどありません。
工事の工程を細分化してそれぞれの専門の下請け業者に発注し、さらに細部の専門的な部分について下請け業者が孫請け業者に発注するという段階構造で成り立っている一般人には複雑な業界と言えるでしょう。
ですので孫請けのレベルやさらにその下の曾孫請けレベルになってくると法人ではなく個人で建設業許可を得て事業を営んでいるその道の専門家的な立場の人がいる場合があります。
このような人は個人事業主としてほぼ各都道府県知事から建設業許可を受けて舗装なら舗装工事業という業種に特化してその道の下請け工事等を受注して仕事をしている実態があります。
個人から法人へと変化を考える選択肢
しかし、ある程度の年月が経過してきて、完成工事高も増加してきて人を雇用してさらなる事業の拡大や建設工事業種の拡大を図ろうという場合には法人化という選択がでてきます。
金融機関などの融資の際に社会的な信用が得やすいというメリットのほかに建設業許可は一身専属的なもので相続や譲渡ができるものではないため自分に何かあった場合に建設業許可を最初から取り直さなければならないのに対し、法人の場合は法人が許可を得ているため経営者の自分に何かあったとしても法人の中の経営者が変わればよいだけで許可は引き続き有したまま事業を継続していけるという個人事業との違いがあるからです。
このように法人化を考える場合には現在個人で受けてる建設業許可と新たに設立した法人に関する許可をどのように取り扱うのかという問題が生じますが、一般的には廃止新規というカテゴリーで、個人事業主の許可については廃業届を提出して許可の効力がなくすと同時に法人として新規申請を行い法人に対する許可を得るという事務を行うこととなります。
この場合には、経営管理者や専任技術者などはかぶってくることが多いことやすでに営業所の実態があることは把握できているため許可審査の処理が速くなる点に特徴があります。また、財産的基礎の要件が個人では預金で500万円などと占めていたのが法人の場合は貸借対照表の自己資本の部分で示すなど示し方が変わってくることや、法人設立をする場合には定款を作成することとなり、当該法人の事業内容に許可申請をする業種が含まれているかなど新たにチェックされる項目もあることも押さえる必要があるでしょう。