建設業許可を受けた建設会社が、地方公共団体等から公共工事を請け負う場合に通らねばならない関門、それが経営事項審査と呼ばれるものです。
建設会社が公共工事を単体あるいはジョイントベンチャーの形式で請け負うことを意図した場合、そもそも経営事項審査を受け、定められた格付等級に該当していなければ、公共工事落札のための競争入札に参加することができないのです。
そういったことが背景になって各建設業者は格付等級の維持改善に躍起となっていることが現実なのです。
経営事項審査を具体的に解説
経営事項審査の具体的な申請方法について説明します。
まずは経営状況分析結果(Y)の評価書を入手するために、建設会社としては国土交通大臣が登録した登録経営分析機関に対し経営状況分析の申請を行い、分析機関より経営分析証明書を受領する必要があります。
経営規模の評価申請については、経営分析証明書の原本を提出する必要があり、提出先は知事許可であれば都道府県知事、それよりも規模の大きいゼネコンクラスになりますと、地方整備局長(北海道開発局長・沖縄総合事務局長も含む)に対し申請を行うことになります。経営規模の評価の具体値については、経営規模(X)、技術力(Z),その他の審査項目(社会性)(W)として示されることになります。
先に示された経営状況分析結果(Y)と併せ、総合評定値(P)として評価されることになる、具体的な格付等級として示されることになるのです。
この等級ごとに競争入札可能な公共工事が細かく規定されることになるため、各建設会社では格付等級のレベルを落とすことは、死活問題にもなるために経営分析上の数値を意識した経営管理を行っているのです。
たとえば経営状況分析の項目において負債比率がチェックされる筈ですが、建設会社の決算期末において借入残高があるようだと審査に響く可能性があるために、負債を極力減らす、極端にいえば加入している金融商品を解約してまでも短期借入をゼロとするような動きを取ることが多いのです。
工事受注を継続していくための経営事項審査ですが、有効期限に十分に留意していく必要があります。
有効期限の管理そのものは、誰が従事すべき業務なのかといえば、それは経営管理を行う者の特有の業務になるといえます。
万が一にも、有効期限を失念し競争入札の資格が停止となるようなことがあれば、事務ミスということでは済まされず、風評リスク等もあり経営が深刻なのではないかと無用の噂になることもあり得ます。