建設業界などで、個人で仕事をする個人事業主あるいは法人の代表者のことを一人親方と呼びます。
厳密に言えば1人だけでなく配偶者や家族も一緒に仕事をしている場合や、アルバイトを年間で99日しか使わないときも同様です。
一人親方の働き方
大工や左官など様々なタイプの一人親方がいるのですが、元請け企業から依頼されて仕事をすることが一般的で、街でよく見かける建設工事現場でも元請業者の労働者ではなく、そうして元請け企業から依頼された一人親方の集団であることがよくあります。
ある意味フリーランスのような働き方と言えるでしょう。
これは建設会社がコストを削減するために、自社の社員ではなく工事のたびに一人親方を雇うことが多くなっているからです。
一人親方のメリット・デメリット
ではそのような立場で働くことにどのようなメリット・デメリットがあるのかというと、メリットは従業員を雇うコストを削減できることと、仕事を自分の好きなように決めて報酬を自由に使えるということがあります。
デメリットは労災が適用されないので、工事中に事故が起きたときに備えがありません。
そのために任意で特別加入できる労災が用意されています。
一人親方と建設業許可
さて、建設業では、一定の基準以上の金額または規模の工事をするときには建設業許可が必要となります。
許可を得る上では営業所で工事のサポートをする専任技術者と現場で工事が適切に行われるように監督する主任技術者(少規模の工事)あるいは監理技術者(大規模な工事)をおかなければいけません。
では、1人で働くときには、人数が足りないので、許可を得ることが出来ないのかという問題が出てきます。
そこで例外的に条件を満たしたときには専任技術者と現場の技術者と兼任が認められます。条件としては当該営業所で請負契約が締結されていること、工事現場と営業所が近接にあり常に連絡をとりあうことが出来ること、公共性のある工作物に関する重要な工事ではない事が挙げられます。
ここで問題に成るのは工事現場と営業所が近接していること、ということです。
ただ、そのふたつが隣り合っていなければいけないというわけではなく同一市内位の距離であれば認められます。
例外を利用して許可を得たとして、次の問題は実際に工事をするときには専任技術者は営業所に常勤しなければいけない、という決まりがあるので一人親方が現場で作業をする事はできないのです。
これでは仕事にならないので、どうするのいかというとそれを監督する行政庁は、矛盾があることがわかっていても取り締まることはせず、「黙認」をされている状態です。